Mozart's Dialogue
2011年より、自主企画コンサート「ウィーンのモーツァルト・サロン」というコンサートをお届けしてきました。これはモーツァルトが活躍していた18世紀後半のウィーンで開かれていた音楽会をイメージして名づけたものでした。
当時ウィーンでは、劇場で行われる大規模な演奏会の他に、貴族の館や裕福な市民の家で少人数の演奏会が頻繁に行われていました。そこで人々は音楽だけでなく会話や食事を楽しみ、また即興で仲間と演奏したり、お気に入りの曲を演奏し合いました。このシリーズはそんな和やかな演奏会を皆様にも楽しんでいただきたいと考えて続けてきたものです。
そして2017年よりモーツァルトの音楽世界に更に踏み込み、私のモーツァルト研究のキーワードでもある「Dialogue」をコンサートのテーマとし、今後のこのコンサートシリーズの名称とする事にしました。楽器と楽器の「Dialogue」、オペラの登場人物同士の「Dialogue」、そしてお客様と演奏者間の「Dialogue」と様々に使われてきた言葉ですが、私もモーツァルトを演奏する際に要となるものだと思っています。
そして何より、初めてクラシック音楽の演奏会に足を運ばれるお客様にも、初めてフォルテピアノを耳にされるお客様にも、もちろんモーツァルト通の方々にも、気軽に楽しんでいただけるコンサートをお届けしたいと思います。音楽に込められた「Dialogue」の中で、皆様と幸せな時間を共有できたら、と思っています。
演奏者がコンサートを企画し主催する、というのは勇気がいるものですが、当時はモーツァルトも自分でコンサートを企画し自分の作品を発表していました。そんなモーツァルトから勇気をもらい、続けているコンサートです。